- 研修の進め方がわからない
- 相手に響いていない気がする
- 研修の「型」があれば知りたい
コールセンターに入社した新人さんに、業務や運用面をトレーニングする研修講師。
私は長年研修トレーナーやSVとして、何度も研修をしてきましたが、何をどう説明したら伝わるかいつも不安でした。
変化の激しいコールセンター業界で15年以上勤め、多くの新人さんに研修してきた経験から「伝わるコツ」を紹介。
この記事を読めば、研修の前にどんな準備が必要かが分かり、伝わる研修を実践できるはずです。
- コールセンター暦15年以上
- 元外資系メーカー営業マン
- 受信/発信/講師/SV/Mgr経験
- 高度HSPの繊細さん
- 在宅コールセンター副業経験有
- コールセンターハック管理人
コールセンターのトレーナーが大事にしている3つのこと
研修するときに
大事なことって
なんですか?
揃ったメンバーによって
進め方を試行錯誤することと
普段の情報収集が大事!
コールセンターの研修講師(トレーナー)に求められるものは様々あります。
とくに次の3つは、必ず意識して研修に臨みましょう。
- 誰が言っているのか?
- 何を伝えるのか?
- どう伝えるのか?
それぞれ解説していきます。
1.誰が言っているのか?を意識する
誰が言っているかとは、
どういうことでしょう?
講師の立ち振る舞い、
人柄、権威性が
重要ということです。
正しいことを言っていても、話を聞きたくなくなったり、信用できない印象を持たれると研修講師として致命傷です。
これらの印象は次の①②③の行動によって決まってしまうので、注意しましょう。
1-①高圧的な言動、振る舞い
- これ、もう教えましたよ?
- なんで資料まとめてないの?
- 私が新人だった頃はもっと大変だったんだよ
人は失敗したり忘れたりしながら覚えていく生き物。
上記のNG例のようにプレッシャーを与えると、失敗が許されない空気が充満し、より失敗を生むチームが出来上がります。
研修中は、何度聞いてもいいんだという雰囲気を作りましょう。
- OK、説明しますね!
- 資料まとめる時間を作るね!
- 今覚えることが多くて大変だけど、必ず慣れるから安心して!
1-②間違いを認めない
- いや、そんなこと言ってないよ。
- ああ、それは例外なんで。
- 運用が変わってた。よくあること。
長年業務に携わってきたプライドから、自分の非を認められない人は多いです。
間違いを認められない人の特徴は次の通り。
- 心のどこかで周りを見下している
- 気が小さくて自己評価が低い
- なれ合いでなかったことにしようとする
研修講師はその現場の一番の知識人であるべきです。
残念ながら上記のような思いで仕事をしていると、新しい情報を取り入れることができません。
柔軟さや臨機応変さに欠ける研修講師になってしまうので、注意しましょう。
- すみません!伝え方が悪かったです。
- 確かにそのケースもありますね。
- 最新の運用をすぐに確認してきます。
1-③質問や指摘を邪険にする
- その質問、前もしてませんでした?
- それは分からなくても大丈夫だから。
- それ、今は関係ないので進めますね。
質問できない空気で受ける研修は地獄です。
受講生の学習意欲は低下し、とにかく講師の機嫌を損ねないよう無駄な方向へエネルギーを使い始めます。
質問を歓迎できないタイプの人は次の特徴があります。
- 現場のリアルな運用を知らない
- 自分でやってみたことがない
- 自分の教え方を崩されたくない
自分自身の引き出しの少なさが原因だったら、それは受講生の問題ではなく、講師側の問題。
現場の管理者やオペレーターさんに話を聞くなり、モニタリングさせて貰うなりで情報収集に努めましょう。
とはいえ、質問の全てに回答していくことは不可能です。
質問は歓迎、しかしすべてにお答えはできないという雰囲気で研修を進めていくと良いでしょう。
いい質問ですね!
鋭い質問ですね!
レベルの高い質問ですね!
でもそれを解説してしまうと
逆に混乱するかも。
時間も足りなくなるので、
今の皆さんに必要なポイント
だけ先に解説させてください。
どうしても気になる場合は
あとで個別にお伝えします。
2.何を伝えるのか?を意識する
何を伝えるのかって、
当たり前に意識しますよね。
もちろんそうです。
でも常にブラッシュアップ
されているかが重要なんです。
事前に決められたカリキュラムに沿って研修は進行していきます。
しかし、見直しや改善をされずに研修してしまうのは、準備不足と言わざるを得ません。
研修は事前準備で9割が決まります。
次のような①②の状況は回避できるよう、しっかり準備しましょう。
2-①資料が古いまま放置しない
ここは運用変わったので
資料を修正しておいてください。
今は新しいシステムなので、
この画面ではありません。
目まぐるしく運用が変わっていくコールセンター。
研修中に変更があると資料の修正が追い付かないということも、よくあります。
しかし、研修開始前なら話は別。
リアルな現場運用に則っていない資料は、差し替えておきましょう。
新しい運用の資料はこれです。
決まったばかりで
取り急ぎ作ったので
別でお渡ししますね。
2-②現場で不要な知識に時間をかけない
- 直近のお問合せ傾向を分析していない
- 現場のリアルな応対プロセスを把握していない
- 自分が現場で活躍していた頃の知識に執着している
新人さんは、今の現場に放たれます。
そこに古い知識や過去の成功例だけを伝えても不十分です。
もし、そんな研修を続けていた場合、現場に入った途端こんなことを思われてしまうでしょう。
ああ、現場のこと知らない人だったんだな…
講師が言ってたことと全然違うじゃん…
知識は常にアップデートが必要で、これでもう完璧ということはありません。
「今の現場」を意識した研修カリキュラムにしましょう。
- ここ1か月でどんな問合せが多いかな
- どんなツールをどんなタイミングで使ってるのかな
- 今活躍しているあの人に話を聞きに行こう
3.どう伝えるのか?を意識する
伝え方をどうするか、
研修講師の力量が
問われる部分ですね…!
伝え方のバリエーションと
それを適宜チョイスする
臨機応変さが必要です。
コールセンターのトレーナーが大事にしている3つのこと、最後です。
正直ここまでの1.~2.は、最低限身に付いているべきことの紹介でした。
しかし、どう伝えるか?は研修講師の一番の悩みではないでしょうか。
上記は仕事を覚えて、成果が出せるようになるまでの学びのステップ。
研修講師の役割は新人さん達を、
- 「知っている」状態にする
- 「やったことがある」を増やしてあげる
- 「全体感がわかる」ことで安心させる
上記のようになるよう手助けすることです。
まずは次の①②③を意識してみましょう。
3-①何度も繰り返し伝える
- 重要なことは何度も繰り返す
- 人は忘れて当然というスタンスでいる
- 思い出す時間を作ってあげる
知識は思い出そうとするとき、記憶に定着します。
- 直前に知ったことを思い出す
- 3時間前に知ったことを思い出す
- 前日に知ったことを思い出す
この繰り返しで、振り返りが出来る仕組みを作ってあげましょう。
- 朝は短時間でも前日の振り返りから始める
- 振り返りの小テストをする
- 新人さんに質問を投げかける
- お客様対応の練習(ロープレ)をしてみる
3-②ホワイトボードは積極的に使う
ホワイトボードを使うメリットは以下の通りです。
- 記憶に定着しやすい
- メモが取りやすい
- すれ違いの防止になる
- 脱線を防ぎ、本筋に戻りやすい
- 参加者の目線を注目させられる
新人さんである研修の参加者の目線が同じ方向に向くので、意見が活発になったり、集中力も高まります。
また、新人さんの顔色や表情を読み取りやすいので、フォローを入れやすくなるというメリットも。
- カリキュラムの全体像
- 今日のゴール、達成すべきポイント
- 複雑なシステムのイメージ図
- 案内に必要な知識の全体像
- お客様へ案内するときの具体的なトーク例
3-③メンバーの表情を見て伝え方を変える
リアクション薄いな…
目線が合わないな…
あれ、眠そう…?
研修は一方通行で進めてはいけません。
以下の矢印の状態をバランスよく保つことが必要です。
新人さんたちの表情、リアクション、あ!わかった!といった顔を見逃さず、適宜質問を投げかけたり意見交換を繰り返しましょう。
- 新人さんに役割を与える
- 定期的に質問やプチクイズを出す
- お題を作成し、考えを発表してもらう
- お客様役とオペレーター役に分かれてロールプレイングする
但し、やり過ぎに注意。
集中力が保たれる15~20分単位で区切って取り入れるとよいです。
どう伝えるか?については
次の章からもっと具体的な
技術をお伝えしていきます。
コールセンターの研修講師が使う「どう伝えるのか」【3選】
ここからは
伝え方のコツを
3つ紹介していくよ。
まだ伝える技術が
あるんですね…!
コールセンターの研修で、「教えるの上手いなぁ」と感じる講師のノウハウと、私自身が講師の際に守っていたことの紹介です。
気になったものが一つでもあれば是非取り入れてみてください。
順に説明していきます。
1.説明の順番テクニック
説明の順番で便利な2つを紹介します。
- 知っている事 ⇨ 知らない事 の順で話す
- 全体像 ⇨ 部分的 の順で話す
✓知っている事 ⇨ 知らない事 の順で話す
冒頭で惹きつけるための方法です。
全員が知っている内容から話し始めます。
- 「うんうん、そうだね」
と頭の中をYESにできると惹きつけ成功。 - 「どういうこと?」
と興味を引く話から始めるのは難易度が高い。 - 「それ違わないか?」
と頭の中をNOにさせると、注意は引けるかも知れませんが、耳を閉ざす研修生が出てくる危険性が高い。
みなさんスマホ持ってますよね。
スマホにはメールの設定が出来ますね。
メールの設定には必要な情報がありまして…
✓全体像 ⇨ 部分的 の順で話す
伝える内容を3つ程度にカテゴリ分けし、今から教わる事について、おおよそのイメージが描けるようにします。
部分的なことから説明をすると、混乱・集中力低下につながってしまうので注意しましょう。
故障受付が出来るように、
今から3つに分けて説明します。
お客様情報の確認方法、
受付処理の流れ、
お客様とのトーク内容、
この3つです。
それではまず1つ目、
お客様情報の確認方法は…
2.ゴールの明示を忘れない
研修のゴールを明示してスタートできるようにしましょう。
コールセンターの新人研修であれば、ゴールはおおよそ「〇〇お問合せに対応できるようになる」になると思います。
✓カリキュラムのゴールを伝える
「今日は何のための研修なのか?」
ここに全員が答えられるようにしましょう。
例えば、以下のように今日のゴールをしっかり明示すると良いです。
今日は〇〇の
故障受付対応ができるように
なることがゴールです。
この時間は受付の処理を
フォロー無しで出来るように
なることがゴールです。
勉強になったけど、結局どこで使う知識なの?となってはせっかくかけた労力が報われません。
実際のお問い合わせの例を提示して、小テストやロープレを一日に一回以上は取り入れると良いでしょう。
※ロープレとは
お客様役とオペレーター役に分かれ、
実際の対応を想定した応対練習。
✓スキルマップを渡して、達成感を持たせる
座学研修中に身に付けたいことを一覧化して、スキルマップとして渡しましょう。
以下は、スキルマップのイメージです。
スキルマップの準備が出来ていなくても、せめて研修中のスケジュールは渡せるようにしたいです。
理由としては以下の通り。
- 集中力の維持に役立つ
- 個々の目標を立てやすい
- 分からないところが分からないを防止
研修中にちょっとしつこいくらいに、現在の進捗状況を共有すると効果が上がります。
3.what、how、whyの構成から選ぶ
相手に伝えたい場面ごとに、what、how、whyの構成のどれか決めて話す方法です。
- whatから説明
what ⇒ how ⇒ why - howから説明
how ⇒ what ⇒ why - whyから説明
why ⇒ what ⇒ how
上記のどれから話し始めるかで、相手に興味を持ってもらえるか、分かりやすいか、が決まります。
それぞれ説明します。
✓What から説明する
「○○とは何か」から説明するケース。
存在を理解させ、「知らない」から「知っている」 に変わる説明です。
Whatから説明するメリットとデメリットは以下です。
メリット
- 理屈や意味から理解できる
- なんとなく概要が頭に入る
デメリット
- 興味を引くには弱い
- 能動的より受動的になりがち
- Whatの説明ゆうたろう
プリンタードライバーとは何かと言うと、印刷をするときに必要なソフトウェアです。
- Howの説明ゆうたろう
どうやって使うかというと、
このFAQ通りの設定でOKです。
それではやってみましょう。
- Whyの説明ゆうたろう
なぜこの解説をしているかというと、最もお問合せの多い内容だからです。しっかりおさえましょう。
✓Howから説明する
「○○とはどうすればいいか」から説明するケース。
手順を説明し、「出来ない」から「出来る」に変わる説明です。
Howから説明するメリットとデメリットは以下です。
メリット
- やらないと覚えられないことに効果的
- 自信が付いて心理的に安心する
デメリット
- 興味が無いと聞いてもらえない
- 面倒だと思われると聞いてもらえない
- Howの説明ゆうたろう
今からこのFAQに沿って
プリンタードライバーを使ってみましょう。
- Whatの説明ゆうたろう
このプリンタードライバーとは何かと言うと、印刷をするときに必要なソフトウェアです。
- Whyの説明ゆうたろう
なぜこの解説をしているかというと、最もお問合せの多い内容だからです。しっかりおさえましょう。
✓Why から説明する
「何故○○をすべきか」から説明するケース。
動機に訴えかけて、「やらない」から「やる」に変わる説明です。
whyから説明するメリットとデメリットは以下です。
メリット
- 興味を引くことができる
- 自分に必要なことかを気付かせることができる
- 相手のやる気を引き出すことができる
デメリット
- 説明が少し長くなる
- 話しが抽象的になり過ぎる
- Whyの説明ゆうたろう
これからお伝えする
プリンタードライバーは、お問合せの多い内容です。
ここをマスターすれば
全体の4割は対応できるようになります!
- Whatの説明ゆうたろう
プリンタードライバーとは何かと言うと、印刷をするときに必要なソフトウェアです。
- Howの説明ゆうたろう
それではこれからこのFAQに沿って、プリンタードライバーを使ってみましょう。
状況によって
どこから説明するか
柔軟に切り替えていきましょう。
OJTトレーナーへしっかりバトンタッチしよう
座学研修を終えると、新人さんは現場でOJTが始まります。
ここでの心配事は、研修と現場のギャップでストレスを抱えてしまうこと。
OJTまたは現任訓練とは、職場で実務をさせることで行う従業員の職業教育のこと。企業内で行われるトレーニング手法、企業内教育手法の一種である。
ウィキペディア
座学中の研修講師とOJTのトレーナーが異なる場合は、情報共有を密に取っておきましょう。
コールセンター研修講師のNG集
最後にNG集です。
やって欲しくないことをリスト化しているので、この逆をすればいいのか、という感じで見てください。
✔「わかりましたか?」の多用
わかったつもりを解消できないのと、
同調圧力で「いいえ」と言いにくい。
伝えた内容をそのまま相手に質問し、
答えて貰うとよいです。
例:「今伝えた注意点ってなんでした?」
✔ まとめの時間が無い
スケジュールが許す限り作ってあげましょう。
✔ ネガティブトークが多い
製品やサービスの文句、
自分の評価を下げる言動、など。
研修の雰囲気を自ら壊す謎の行動。
進め辛くなってくるのでやめましょう。
✔ 職場の昔話ばかり
過去の事例共有程度ならOK。
ただの身内話で盛り上がっていないか、
配慮しましょう。
コールセンターの経験を活かして副業始めませんか?
- 本業にバレずに月数万稼ぎたい
- 在宅ワークで生計をたてたい
- でも特別なスキルや経験はない…
そんなあなたに、おすすめしたい働き方があります。
上記のリンク先の記事で
詳しく紹介中です!
コールセンターの仕事をもっと学ぶ
当サイト「コールセンターハック」は100以上のコールセンター仕事術、ノウハウを公開中。
今コールセンターで働いている方、これから働いてみたいを思っている方に有益な情報が盛りだくさん。
特に以下の記事はおすすめなので、是非チェックしていってください。
最後までお読みいただき、
ありがとうございます。
このサイトでは
コールセンターという仕事をどうハックするか、
私個人が学んだことを発信してます。
是非トップページをお気に入り登録お願いします!
更新情報はSNSでも発信中です。
コメント